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『森と渓流とログハウス』
第5話 それでも楽しい苦労話
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子供の頃から山が好きだった私は、マイホームを建てるなら、鳥の囀りが聞こえる森と、川のせせらぎが聞こえる渓流の近くがいいなぁと、漠然と考えていた。
その漠然とした想いは、結婚して女房と子供達との暮らしの中で、増幅していったのです。
そう、この頃から僕の頭の中に、森、渓流、ログハウスという言葉が頭に浮かび、夢のシチュエーションを描き始めたのです。
2年前から土地探しを始めた。
仕事場から車で1時間以内、山の麓で、森の中で、近くに民家がなく、すぐ側には澄んだ渓流が流れる土地なんて、そんなに簡単に見つかるはずがないだろうと言うことで、2年前から始めたんです。
だけど探し始めると不思議なもので、見つかるもんなんですね。
知人に地元の地主さんを紹介していただき、素晴らしい土地に出逢いました。
そこはすぐ目の前に、紅葉が素晴らしく美しい山がそびえ立ち、すぐ横には小川が流れ、南側が開けていて日当たりも良く、申し分のない土地でした。
平地で235坪、この広さだと、ログの横に露天風呂だって出来るし子供達のキャンプ場も簡単なことだ。
飼おうと思えば馬だって飼える・・・・
胸の中にしまい込んでいた夢への溢れる想いが、体の中から溢れ出してきて、体中震えるような感動に包まれたのでした。
この土地の値段が、235坪で1000万円ポッキリ! 一坪約4万3千円。
これならログハウスの見積額2000万を合わせて3000万円。
我が家が借り入れできる限度額が3200万、自己資金が200万。
これならなんとか、イケルじゃないか・・・
必要な書類を揃えて、喜び一杯の顔で銀行の窓口に座っている自分がありました。
土地と建物なので、住宅金融公庫を目一杯利用して、不足分500万を銀行ローンを組むことになる。
銀行ローンを組むためには、銀行の後ろにある、保障協会の査定にパスしなければならない・・・
ハラハラ、ドキドキ、胃の痛む2週間を過ごし、出た結果が「見送り」でした。
別の保障協会を通しても、答えは同じでした。
理由はこうです。
(1) 自営業(飲食業)は不安定な職業だから・・・
(2) 自己資金不足(200万ですから、これには少し納得)
(3) 土地の場所が田舎すぎて、評価されない。
(4) 永住でログハウスという前例がないから。
(5) 流通が悪い。
銀行が求める書類上のハードルはクリアしているんです。
収入はあるのに、仕事が水商売、田舎すぎる、ログハウス、流通・・・・
水商売なんて言われるとは思わなかった(激怒)
田舎すぎるって、僕に言わせれば人間らしい生活をするための田舎暮らしだ!
ログハウスは今最も注目されている住宅だ!
流通が悪いと言ってもバスだって通ってるし、すぐそばに停留所がある、駐在所だって、小学校だって 近くにある。
そりゃぁ、さすがにスーパーは近くにはないけれど、車で15分も走れば買い物だって十分出来る。
銀行員を目の前にして思わず声が大きくなる・・・・
「夢のために一生懸命働いてきて、ようやく夢を手に入れられるところまできたんや!
世知辛い都会暮らしから人間らしい暮らしがしたいのに、何がアカンねん?
どないせえって言うんですか!」 すると冷ややかに銀行員が言った。
「そういう田舎でどうしても住みたいのでしたら、まず先に土地を取得しなければ無理でしょうねぇ・・・」 さすがにこれにはキレた。
「だったら最初からそう言うたらええやんか、一ヶ月も期待させておいて・・・それならそれで、別の方法考えるやんか!」
まったく、どういうつもりで仕事してんだか、ホンット腹がたちましたよ。
女房と、どうしてこんなイヤな思いをさせられるんだろうなぁ?と消沈しそうな思いでした。
だけど、捨てる神あれば拾う神あり、この銀行とのやりとりを地主さんに報告し、せっかくだけど土地をあきらめる旨を、伝えに行った帰り道のことです。
突然「止まってー」と女房が叫んだ。何事かとビックリして車を止めると、「ほら、見て見て!」 すると、電信柱にくくりつけてある、真新しい白いプレートに赤い字でこう書いてある・・・「この近くで、1000坪、480万円」
はぁ ???
うっそ、マジ?
信じられへん、悪いいたずらか?とにかく問い合わせてみる。
すると平地が88坪、斜面が約900坪と言うことでした。おまけに県道から山に向かって
地道を3キロも入ったところにその土地はあると言う。
斜面はいいとして地道を3キロ・・・
この方が心配だ。
とにかく不動産屋と2日後に現地で会うことにした。
一体どんなところにその土地はあるんだろう・・・
電気は?水道は?電話は?
山の奥に3キロ、山好きの僕にはだいたい予想はつくけれど、女房は不安でたまらない。
時間をかけて話し合った結果、土地に着いた時の感覚、第一インスピレーションで決めようと言うことになった。
当日、不動産屋について車を走らせて行くと、例の地道は渓流に沿って続いている道だった。

この渓流の水が澄んでいて美しい、前日に降った雨がウソのように晴れ、そのおかげで山を輝いて見せている。
山好きの僕の感が騒ぐ・・・
「こりゃイケルかぁ」
胸を躍らせどんどん突き進んでいくと、渓流を勢い良く横切る見覚えのある鳥を見つけた。
カワセミだ!
おおぅ、この渓には魚がいるぞ!
アマゴかなぁ?
岩魚もいるかなぁ?
釣り人でもある僕の頭の中は、運動会の時の万国旗がぐるぐる回り出し打ち上げ花火がパーン、パーンと上がりっぱなしになった。
地道を走り出し10分ぐらいすると、その土地に着いた。
渓流に掛かった橋を渡ると、急に空が開けた。
何千坪もあるその分譲地にはすでに7,8建のログハウスが建っていて、いかにも別荘地の雰囲気を出していた。
88坪の平地に立ってみる・・・・
鳥の囀りが聞こえる。
川のせせらぎも聞こえてくる。
僕の心はすでに決まっていたけど、我が女房殿はどうだろう?
さりげなく女房の顔を覗いてみた・・・・ 「よっしゃ!思わずガッツポーズ」
結局、地主さんと交渉の結果、隣の平地50坪と10メートル裏の160坪の渓流、斜面900坪の合計約1200坪が500万(手数料込み)で話は決まった。
こうして我が家を建てる土地を取得したわけです。
なんだか、しんどくて辛い話のはずが半分も書けていません・・・・
それだけ、この土地に満足していまして、僕が求めるこれ以上の自然環境の土地は他にはまずないだろうと思っています。
辛い日々もありました。
だけど夢に向かって真っ直ぐ前を向いて、ゆっくり歩いて来ました。
胸をワクワクさせる夢を見た次の日には、冷たい現実にさらされるという繰り返しでした。
時間はかかりましたが、ようやくここまで来ることができました。
いつも側にいてくれた女房のおかげです。
ありがとう。
明日か明後日、ようやくフィンランドよりログキットが神戸港に到着します。
25日26日で現地に資材搬入をすませ、いよいよ組み立て作業の開始です。
これからどんどん楽しくなってきます。
お楽しみに。
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